サイバーフォーミュラ
修×加賀

小説由里様



修から電話がかかってきて、週末の買い物に付き合ってくれないかと聞かれた。

別にその日はオフで暇だったし、食事は向こうが奢ると言うし、特に断る理由もなかったから俺はOKした。


―――今思えば、それがマズかった……。





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落ち着け、俺。
今の状況を考えてみるんだ。
買い物に付き合ってくれと言われたのは覚えているな。うんうん。
ああそうだ。
お互い、普段の格好では買い物どころじゃなくなるだろうから、変装することになったんだ。
まぁそれなりに俺たちも有名人だからなっ。
で、服は向こうで用意するから、俺は髪を下ろした状態で来いと言われた。
髪さえ下ろせば、俺の変装は大部分が終わったようなもんだぜ。
あとはちょっと雰囲気を変えれば……。


「……って、どこが『ちょっと』なんだァ!?」
目の前に並ぶ服。そして小道具。
―――スカート、リボン、化粧品。
しかも……。
「胸パットまで入ってやがるし」
何コレ。どういう事?
コレを俺が着るのか?一応こう見えても俺男だぜ?
って、こう見えてもって何だよ!どっからどう見ても男だって!!
何なら今ここで証拠を見せてやろうかっ?

「ほらほら加賀さん。早く着替えて下さいね☆」
「ぅおっ!?」
一瞬思考がアブナイ方向に行きそうになったが、いつの間にか俺の背後に立っていた金髪の悪…天使の言葉で踏みとどまった。
あぶねぇあぶねぇ。ここでそんな事をしようものなら、目の前の男に良からぬ口実を作ってしまうところだった。
…それより、本当にいつの間に居たんだ?気配を全く感じなかったなんて…流石だな。

「なぁクレアさんよぉ〜。コレを俺に着ろって言うのか?正気かい、アンタ?」
「もちろん正気よ♪」
……ダメだ、目が輝いてやがる。
俺は、俺はあの目を知っている…っ!

玩具を見つけた子供の目だーっ!!!


「冗談じゃねぇ!俺ァ帰るからなっ!」
たかが暇つぶしの為にこんな格好する趣味はねーんだよ!
しかし、帰ろうとする俺の道はサッと手で遮られた。
「…確か加賀さん、菅生で  を注文されてましたよね?」
「お、おう…」
クスッと微笑むのは、果たして天使なのか悪魔なのか……。
「いつもは修さんの厚意で割引にしているようですが、今回は私が担当することにしましたので、あまり期待はなさらないで下さいね?」
「!?」

何だとっ?って、それより『担当することにしました』って、今決めたのかァ!?
おい修、そんな勝手なこと許していいのかよっ?

俺が助けを求めて辿り着いた視線の先には、すまなさそうに手を合わせる修が居た。
抵抗する気ゼロ。

「……修……ちったー権力持てよ………」





その後の事について、加賀は決して語ろうとはしない。
事実を述べるなら、加賀がクレアの姿を見つけると隠れるようになったこと。
加賀が修と出掛けることは二度となくなったということ。
加賀の修を見る目が悪い意味で変わったように見えること。

巷では、その日菅生修がとびきりの美人と歩いていたとの噂が流れた。
背は低くなくスラッとしていて、まるでモデルのような。
通り過ぎる人がみんな振り返って溜息を吐いたらしいから、きっと顔もさぞかし美しかったのであろう。
が、その美人の正体は不明。
菅生修本人に尋ねても、顔を強張らせ「見間違いじゃないのか?」と答えるのみだった。
……まるで誰かの怒りに怯えるように。

そういうわけで、結局真相は謎のまま。
あれは一体誰だったんだろう?


と、一応そうなっている。





2人の後を何人もの男が尾行していた事や、
ましてや写真にまで収められているなんて、
どんな新しいマシンの情報より重要なトップシークレット事項なのだ。



モデルばりのスタイルの加賀ちゃんですが、パンクな髪型を変えただけで
ストレートに美人なんですよね(≧∇≦)!!もちろんどんな姿でも
加賀ちゃんは加賀ちゃんですv
そしてクレアさん!やはり最強〜(笑)
楽しい小説ありがとうございましたv

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