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二週間前・・・

ベッドサイドの淡い光の中で、白いシャツがするりと床に落ちた。
「初めて見ました。貴方の趣味ですか・・・信仰心?」
「何がだ?うん?」
肩口に唇が寄せられた。
「大きな樅の木のデコレーション・・・」
「ああクリスマスツリーか・・・・妻がクリスマスに戻って来ると言うのでな、用意させたものだ・・・」
「お帰りですか?アスランも?」
ひらりと身体をひねり腕からすり抜けるとテーブルのグラスを手に取った。それを相手に差し出した。
「黄道同盟で農産物プラント用のレポート報告とクリスマスパーティーをするのでそれに合わせて戻って来るそうだ。
アスランは帰らない。」
差し出されたグラスの中身を口にする。
「クルーゼ、休みは与えん・・・その日は空けて置くように。予定していることがある。久しぶりにクラインと話しが合ってな。お前を交えて夜を過ごそうかと思っている・・・・」
「クルーゼ・・・・楽しみにしているがいい・・・」
もう一口・・・・
「うん・・・あ・・・んん・・」

口に含んだまま再度クルーゼの腕を取り抱き込むと、顎を掴み口付けた。きつめのジントニックが喉を焼く。二口目・・・三口目クルーゼはパトリックの首に手を回した。
美味しいか?と聞く声に「もっと」とねだる。酔いが回れば辛さがましになる・・・最近気が付いたこと、意識が薄れる、痛みが薄れる、自己嫌悪に後悔する前に眠ってしまえる・・・と。


酒はあまり好まなかった・・・この男に身を任せる前は・・・気持ち良くしてくれても必ず苦痛が来る事を知ってからは、気持ちの落ち込みを酒の所為で誤魔化す自分をも知る・・・
それでも自分が思うことをなす為には力を欲していた。この男がもっとプラントのトップに立つように願う。そうして男の力を使って、自分の願いを叶えてみせる・・・そのためにはなんでもしよう・・・

自分達の欲望のままに生きる愚か者達、かつて、その罪を一人の貧相な男に擦り付けて殺させ、身代わりに為って下さった我々の救世主様と崇めている者達。彼の誕生日を称えて免罪符にしようというのか・・・自分達の行っている事を反省するのならまだしも、ただ騒ぐだけの愚か者達、私が彼の代わりに裁いてやろう・・・お前達の欲望の結果が私なのだから・・・見ているがいい・・・私は救世主ではないから、ただ黙って葬り去られない。

「あうっ!!痛い・・・」
「何を考えている?まだ足らないか?もっとか?」
更に足を胸に押し付けられ、腰を割られ、圧し掛かられ、奥を抉られた。何度も何度も抉られそのたびに悲鳴が上がる。
「もっと泣け。クルーゼ。足らぬか?酒が。お前の声が聞きたい・・・」

サイドボードに置かれていた残りの酒を更に飲まされる。そしてグッと引き抜かれ、身体を反転させられ四つ這いにさせられ、腰を更に高く上げられる。攻められていた固い熱棒を引き抜かれ、ほっとするまもなく今あったものの中に、口移しで酒が注ぎこまれた。
「な!にを・・・」
その冷たさに身を震わせた。更に奥へ、指で酒が導かれるように入れられた。
「アルコールが一番早く吸収されるそうだ、ここの粘膜は・・・愉しみだな?うん?」
と言いながら更に指の代わりにもう一度自分のモノを突き入れ突き上げた・・・
「だいじょうぶだ・・・クルーゼ、お前のモノを喜ばせることは忘れていないぞ・・・ちゃんとイかせてやるかな・・・・うん?よく知っているぞ・・・お前よりこちらのモノの方が反応が早い・・・もう私の手から出ようとしている・・・元気だぞ?聞いているか?」
あまりの恥ずかしい言葉にいたぶられて、巳を恥じ入らせているクルーゼのモノを愛撫し熱く堅くさせていった・・・・
声が相手を喜ばせると知っているが、やはり恥ずかしく押し殺したかった、が、もう、理性を保つのも苦しかった・・・手放しても良いだろうか・・・
「あ・・・はあ・・・あ・・・あ・・」


「酔いが早く回ればイイだろう?クルーゼ・・・」
「ああ・・・あ・・あ・んん・・」

「ア・・・熱い・・・だめ・・・それ以上・・・はあ・・あ・・・あ・・んん・・」
「名を呼んでくれ・・・クルーゼ・・・」
「あ・・・はあ・・あ・・・だめ・・・口に出してしまう・・・・やめ・・・」
「名前を・・・・呼んで・・・うん・クルーゼ・・・」
「はあ・・・あ・・・あ・・ああ・・
「――・・くうっ・・ウ・・ンンン・・・・・パトリック!!うっ・・」

びくんっと跳ねた身体を抱き締めるように押さえつけ、最後までクルーゼのはなった精液を飲み尽くした・・・・クルーゼのモノから身体を起こし、改めて抱き締めた・・・
「クルーゼ・・・クルーゼ・・・よく呼んでくれたな・・・」

「褒美をやる・・・いつも尽くしてくれているからな・・・」

「待っていたまえ、いい物を見せてやるからな。」

「まだ熱が篭っているようだな・・・・身体が酔っている・・・・流石に良く効いている・・・辛いだろうからな・・・その熱抜ききってやろう・・・」

いつもは何度目かの後はクルーゼの世話を執事に任せたまま、さっさとシャワーをしてこのゲストルームを後にするのだが・・・


明け方近くなるまで、ゲストルームからはまだ熱い、うわずった二人の声が零れていた・・・

「クルーゼ・・・お前を取った・・・誰よりも。・・・くっ・う、うんん・・その証だ。」
低く呻く声と中のモノが一段と圧迫し、その質感に身震いと恐怖の悲鳴を漏らすと、満足するかのように、パトリックはクルーゼの中に何度目かの熱を一気に吐き出した・・・

クルーゼは与えられたアルコールの熱が醒めるまで何度もいたぶられた・・・・

ただ、酔うままに身体に与えられる愛撫の感覚に、わざと感じ入るふりをする間も無く声を上げさせられ、よがり・・・泣き叫んだ・・・・
「――良い色に染まっているぞ・・・クルーゼ・・・良い声だ・・・・もっと泣き叫ぶんだ・・・・誰も聞こえないから。お前は私の物だ・・・誰の物にもさせはしない・・・クルーゼ・・・・誰よりも・・・息子よりもお前を取った・・・」

明け方まで付き合わされたクルーゼは過ぎた情交の結果、殆ど眠れないまま、睡眠不足だった。更に快楽を与えられ過ぎた気だるさと、痛みで悲鳴を上げている身体の為に、鎮痛剤を飲み、出勤した・・・・

「――何を考えて貴方に抱かれているのかご存知か?パトリック・・・」
執事が運転する車の中で束の間横たわり、聞こえない声で・・・・・そしてひっそりと哂った。



C,E,63,12,24

慈善コンサートの帰り、執事に新しいカクテル「スター・ダスト」を勧められて満足し、湯船に浸かる事にした。
『誰よりも、お前を取った。』
「そう言っておきながら、クラインもパトリックも・・・黄道連盟のパーティーだ、妻と一緒だと?」
「勝手な事を・・・ただ、望みを得るためにはなんでもしよう・・・」
と残りのカクテルを飲み干し呟いた。

湯船にたっぷりと湯を張り思いっきりのんびりと湯船に浸かる・・・ささくれ立っていた神経が蕩けそうだった。だがそのまま眠る事は許されず携帯の呼び出し音が鳴り響いた。それも通常の物ではなく、パトリックからの直接の手渡されていた機体の端末音だった・・・湯船から出て、脱いでいた服の山の中から拾い出した。今頃なんだ?と思ったが出ないわけには行かない。

「はい、クルーゼです。」
「クルーゼ、今夜の雪を君に捧げる」
「どういうことですか?何処からかけていらっしゃるのですか?」
「妻とホテルにいる。今夜はお前の元には戻れぬから、代わりに今降っている雪をお前の為に、気象局に降らせている。新しいシステムになったといき込んでいる連盟の、若手の者に実験させているのだよ。雪も、ホワイトクリスマスも、神も、知らないお前に、天から初めての雪を捧げる。これをクラインと企んでいたのだよ。妻を月へ送り出したら、感想を聞きたいものだな。今夜はゆっくり休みたまえ。明日は雪が全ての物を覆い隠している・・・・罪さえも真っ白な清浄な色にな・・・ただし、明日の夜には消えている。惜しい事だがな・・・おやすみクルーゼ。お前の安らかな眠りの為に。お前を想っている・・・」
「パトリック!」
必要な事だけ告げると切れた。



浴室の窓を開けた・・・止む事無く降っていたのだろう、外は雪が積もり真っ白に雪化粧していた。そしてまだ白い物がふわふわと落ちていた。雪・・・プラントに降る雪、否、降らせた雪か・・・私の為に?私の気を惹く為に?・・・馬鹿な大人・・二人・・か・・・・
湯船に浸かりながら見る雪はふわりふわりと・・・・花びらのようだ・・・天空で白い薔薇をむしるのは誰の指だろう?



馬鹿な男たちだと哂っていられたのは朝まで・・・・


雪を積もらせた道路の恐怖をプラントの者達は初めて知ることになる。一歩踏み出した所からつるつると滑り、まともに真っ直ぐ歩く事も出来なかった・・・・
ザラ家の執事は前もって知っていたのか、かつての地球での思い出があるのか、夜から道には芝生用のスプリンクラーを凍らない勢いで流し続けていた。
お陰で雪もなく屋敷の下の一般道路もマシな状態だった・・・・だが、他の車が立ち往生して通行の妨げになってしまっているので、車で出勤は駄目だという事になり、急遽、警察病院の救急搬送ヘリを屋敷に下ろさせて、クルーゼを乗せ、警察病院の屋上のヘリポートに着けさせた。
職権乱用も甚だしいが、ザラの黄道同盟員の配慮から不問に付された。警察病院の救急室からの早く出勤を促す声も手助けしていた。それほどまでに朝の訪れと共に事故が多発し、怪我人が運び込まれていた。

パトリックとシーゲル、どうする?この後始末を。
「一介の若造の心を捕まえていたいが為の職権乱用の結果です。」では済まないな
ま、二度と降らせられないだろうな〜このような結果を招いたのだから・・・

ふと、笑いを噛み潰した。患者の前で、積雪で転び負傷した原因が、ここにいる貴方を処置している医者ですよ。と言って、大笑いしたいぐらいだった・・・


「プラントに降る雪・・・」


しかし、この市民生活に多大な迷惑をかけた無謀ともいえる試みは、意外にも被害を被った市民に好評だったようで、来年も実施して欲しい、ロマンティックだ、地球のホワイトクリスマスのようだ、珍しい、地球の雪を教えてやれる、一日ぐらいの不自由は我慢する、などという前向きの意見が多く寄せられたのだった・・・

たった一つの小さな波紋が・・・プラントを動かした・・・・誰がニュースペーパーに投書したのか判らないまま・・・・


「この雪は君のために降らせた。この色のドレスを・・・」
愛の囁きと同じ価値のある言葉に代わっていった・・・・
いつしかプロポ−ズには欠かせない言葉となっていった・・・・



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